今回は初めての投稿ということで、たまにうっかりやってしまう色のミスについてご紹介しようと思います。
私が複合機の保守をしていた頃のお話ですが、お客様から「画面に表示された図面と印刷した図面の色が違う」というお電話がかかってきました。
そこで上司と共に現場に向かい件の図面を見せてもらうと、画面では色鮮やかな緑の線が、紙の上では青とも緑とも言えないなんとも微妙な色になっているではありませんか!
…といった事態になる原因をざっくりまとめると
1. モニターと複合機で色を再現する方法が違う
2. そもそもどちらの色も正しくない
ということになるかと思います。
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まず1についてですが、色は色光の三原色か色材の三原色のどちらかで表現されます。
PCのモニターは前者で、
R(ed) B(lue) G(reen)の3色の光を組み合わせます。
色を足し合わせると明るくなり、全部混ぜると白になるので加法混色と呼ばれます。
一方、一般的な複合機は後者で、こちらは
C(yan) M(agenta) Y(ellow)の3色を組み合わせます。
色を足し合わせると暗くなり、全部混ぜるとグレーになります。減法混色と呼ばれます。
さて実際のところ減法混色で完全な黒を作ることはできません。複合機でこの3色だけを使い印刷してみると、
英語の発音記号əくらいあいまいなCMYすべてをどことなく感じるようなグレーが出力されます。
なので実際の複合機では原稿を出力する際に一定以上の濃度の部分は黒であると解釈して黒のインクかトナーを使います。
所謂CMYKと呼ばれるものですね。
さて両者の違いはいいとして、PCで作った成果物をプリントアウトする際に問題になるのは表現できる色の幅です。
これを色域と言いますが、RGBはCMYKより色域が広いです。端的に言えばRGBの方が鮮やかな色を表現できます。
最初の例のように、一般的な複合機でCMYKの色域を超える色を印刷しようとしても実際に出力することはできないので、色が違う!ということになるわけですね。印刷をする予定があるなら使う色をCMYKで表現できる範囲に留めるか、RGB印刷をしてくれる所にお願いする必要がありそうです。
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続いて2についてです。みなさんは夜間モードやナイトモードをONにした状態、要は画面がいつもより黄色い状態で絵に色を塗って、翌日見返した時にやらかしに気づくといった経験があるでしょうか。
このようにユーザーが設定を変更しているケースは言わずもがなですが、そもそも出荷時点の状態で色が正しいとも限りません。これはモニターに限らず複合機も同様です。
「正しい色」というイデアに近づくためにはお高いカラーマネジメントモニターを買ってくるかキャリブレーターでモニターへ入力される色を調整する必要が出てきます。両者の違いは下記のサイトに詳しいです。
https://www.eizo.co.jp/eizolibrary/color_management/monitor/
仮に上記の方法で正しい色の光を手に入れた/入れていないに関わらず、モニターに映るままに印刷しようとすると今度は複合機とも色を合わせなければなりませんが、恐らくこれが一番大変です。
モニターと印刷物の色を調整して見比べて調整して見比べて...となるので単純に手間がかかります。個人ならそれでも何とか出来そうですが、オフィスの複数のPCから印刷するとなれば全てのモニターと複合機の色を合わせないといけない...といったことになりかねません。
部品の破損は交換すれば直りますがこういった感性によるところの大きい問い合わせはお客様次第で非常に面倒なことになります。この手の対応には憂鬱になるエンジニアが多いんじゃないでしょうか。私は嫌でした。
真実に近づくためにはお金も手間もかかりますが、手っ取り早く問題を解決する方法として妥協をするというものがあります。
色が違うとはいえ少なくとも赤が青になって出てくることはないので、伝わればいいや程度のおおらかさが時には必要なのかもしれません。
電子データのみでのやり取りであれば相手の機材によるところもあるので尚更気にするだけ無駄というものです。
またあなたが絵を描いたりする人なら夜間モードの類はオフにしておくのをお勧めします。絶対に切るのを忘れます。
以上、元も子もない話でした。