私たちが生きる現代社会には、パソコンに繋いで使える便利な機器というものが星の数ほど存在します。キーボードにマウスにWebカメラにetc...
ガジェット大好き人間としてはいろいろと取り付けたいところです。
しかし数を増やそうと思うとお金は減っていく一方であるのに対して、ケーブルの本数はガジェットと共に増えるという、極めて重大な問題に直面することになるのです。そのまま放置しても見栄えが悪いし、かといって綺麗にまとめても付け替えるのが面倒と良いことがありません。
今回はそんな問題を解決するかもしれなかったWireless USBについてです。
まずWireless USB(WUSB)とは何なのかについてですが、名前の通りUSBを無線化したものになります。
速度は3メートルまでの距離で最大480Mbpsとなっていますが、これは規格が策定された2005年当時最新であったUSB2.0と同等です。
10メートルでは110Mbpsですが、当時のBluetooth2.0(2.1Mbps)と比較しても速度面は優れています。
またWUSBはUWBと呼ばれる非常に広い範囲の帯域を利用するため干渉に強いという特徴があります。電子レンジでご飯を温めていてもイヤホンの音が途切れる心配をしなくていいというわけです。
WUSBを搭載していない機器とパソコン間で通信を行うためのWUSBハブ/アダプターと呼ばれる製品も登場しました。
ハブに通常のUSBハブのように機器を接続し、ハブとアダプターを取り付けたパソコンを無線で通信するというものです。
高速かつ無線という一見すると素晴らしいWUSBですが、今日日対応した製品を目にすることは全くありません。なぜでしょう?
原因として下記のようなことが考えられています。
・使用する帯域が広すぎる
WUSBではUWBを用いて通信を行いますが、帯域が広すぎる影響から国によっては利用が制限された帯域と被るという問題が発生しました。
(例えば、現在日本では屋外でのUWB無線利用には一部制限が設けられています。
総務省 電波利用ホームページ|その他|UWB無線システムの屋外利用時の運用制限について (soumu.go.jp))
そのため認証までに時間がかかり普及が遅れる事態となりました。
・Wi-FiやBluetoothの存在
WUSBは確かに速いですが、HD DVDがBlu-rayに敗れたように、性能が高ければ勝てるのかというと一概にそうとは言えません。
Wi-Fiを用いることで無線でのプリントや映像の送信が可能ですし、直接インターネット経由でデータのやり取りを行うことができます。
Bluetoothも速度では確かに劣りますが、電力消費が少ないというメリットが存在します。
・技術的な背景
データの転送を無線で行うことは可能でしたが、電力を供給するためのケーブルが結局必要であるという問題がありました。
また当時からより高速なUSB3.0やThunderboltの構想が存在したようで、メーカーとしてもそちらの方がより堅実なリターンを望めるという考えが
あったようです。
そんなわけで姿を消してしまったWireless USBですが、無線のUSBハブは結構便利そうだなと個人的には思います。
別の技術で形を変えて復活する未来があると嬉しいです。
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参考:
https://www.techradar.com/news/computing/whatever-happened-to-wireless-usb-i-994212